ソーシャルレンディング投資で確定申告を行う必要があるケースとは?
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ソーシャルレンディング投資で利益が発生したら利益に応じて税金を納める義務があります。一方でソーシャルレンディング投資の分配金は、あらかじめ20.42%の所得税が源泉徴収として引かれているので、確定申告をしなくてもよいケースがあります。
そこでどのような時に、ソーシャルレンディング投資で確定申告の必要があるのかを、ここではお伝えしていきます。
1.年間のソーシャルレンディング収入が20万円以下であれば不要
まず年間20万円以下の収入しかない人は、確定申告をする必要がありません。全額自分の収入になります。例えばソーシャルレンディング投資で、運用12ヶ月、利回り10%の案件に200万円を投資していたら、分配金の金額は20万円です。このライン以下であれば、確定申告の義務はありません。
2.20万円を超える収入があれば確定申告をしなければいけない
確定申告の義務が発生するのは、20万円を超える収入が発生した場合です。
例を挙げると、年間利回り10%案件に25万円を12ヶ月投資していたら発生する収入は25万円です。この場合確定申告を行って、税金の金額を確定しなければいけません。
2-1.ソーシャルレンディングの所得は雑所得
税制上、収入には様々な種類の分類があります。ソーシャルレンディングの所得はその中では総合課税、雑所得というカテゴリに分類されています。この場合給与所得と合わせて最終的な所得金額を計算し、所得額に税率で所得税の金額が決まっていきます。
株式投資で得た利益は雑所得ではなく、分離課税の中の株式所得になっています。この場合所得税のような上限の大きな累進課税ではなく、所得に対する税額の上限が20%と決まっているため、収入が増えても支払う税金が一気に増えるわけではありません。
ソーシャルレンディングは残念ながらこのような分離課税の対象になっていないので、収入が増えることで税率もどんどん上がっていきます。
所得税の税率は以下のようになっています
所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万~1800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1800万~4000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
給与所得が多い人はソーシャルレンディングの利益がわずかでも上乗せされると、所得税率がアップするケースが有ることに気をつけましょう。できれば税率が変わるラインを見極めて、収入の金額をコントロールしていきたいところです。
2-2.確定申告をすることで、お金が返ってくることもある
確定申告は税金を支払うだけではありません。確定申告を行うことで、税金が還ってくるケースもあります。ソーシャルレンディング業者はどの会社も投資家に分配金を振り込む前に、20.42%の源泉徴収を行っています。上の所得税率表を見てもらえば分かるように、所得税20%の収入ラインとは年間所得が330万円から695万円の人です。つまり年間所得が330万円以下の人の場合は、確定申告行えば多く納めていた所得税を、還付してもらえるのです。
ここでは収入と所得の差に気をつけておきましょう。収入は会社から支給される税引前の給料と、ソーシャルレンディングの源泉徴収される前の金額をあわせた数字です。
所得は各種の控除等や、社会保険を支払った金額になるので給与総額よりもかなり少ない金額になります。
会社員として給料をもらっている人は、一定の金額の給与所得控除があります。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 | |
1,800,000円以下 | 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円 |
|
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
そして給与所得以外にも、国民全員に基礎控除と言われる38万円の控除があります。年収が400万円の人の場合、計算をしていくと給与所得控除は134万円。そして基礎控除を足すと172万円です。社会保険料などを年間60万円支払っていたとしましょう。その他にも生命保険に加入していたり、医療費が一定の金額になると控除を受けることができます。その控除が5万円だとします。
そしてソーシャルレンディングの収入が年間50万円あったとしましょう。
最終的な税額を計算してみます。
400-172-60-5=173
173+50=223所得は約223万円なので適用される所得税率は10%です。つまり所得税額は23万円。さらに97,500円の控除があるので、実際は132,500円です
50万円の利益が出ていれば、ソーシャルレンディングの元の収入は、625,000円。つまり125,000円も税金をすでに支払っています。給与の所得税と合わせれば本来の所得税よりも多額のお金を払っているでしょう。
この場合およそ7~8万円前後のお金程度が還ってきそうです。
もちろん給与所得が1千万円、ソーシャルレンディング収入で200万円など、収入が多い人は所得税率がアップするので追加で所得税を支払わなければいけません。
確定申告は国民の義務なので、必ず行うようにしましょう。
3.ソーシャルレンディングの確定申告に必要な書類とは
ソーシャルレンディングの確定申告に必要な書類は、各ソーシャルレンディング会社が発行する年間取引報告書です。これは例年1月中旬意向、マイページ内に掲載されるので、印刷しましょう。ここに1年間の収入と源泉徴収されている金額が記されているはずです。
そして確定申告を行う場合には、会社から発行されている源泉徴収書や医療や生命保険など、各種の控除を証明する書類を見て、確定申告書類を作成します。
また持参する義務はありませんが、経費として計上したものに関するレシート、領収書を保管しておく義務があります。
4.ソーシャルレンディング投資で経費になるものは
ソーシャルレンディングの税金を節税するためには、経費を可能な限り計上をすることを考えましょう。不当な支出でなければ、経費として計上することに何ら問題はありません。
ソーシャルレンディング投資で経費として計上できそうなものには以下のようなものがあります。
・書籍購入代
ソーシャルレンディング関連の投資を研究するための書籍を購入した場合、書籍の購入費を経費にできます。
・セミナー参加などの交通費
ソーシャルレンディング会社のセミナーに参加した場合、その交通費も経費にできます。
・セミナーの参加費
有料セミナーに参加した場合の、セミナー参加費も経費になります
・出金手数料や入金手数料
ソーシャルレンディング業者から自分の口座に出金をした場合、もしくは入金した場合の手数料は経費になります。まとめておきましょう
・通信関係の費用
ソーシャルレンディングの会社に電話をした、また取引のためにインターネットにアクセスをしたなどの経費は、自分が使っている通信費の一部を按分すれば認められます。自分が契約している通信費を全てソーシャルレンディング投資の経費にすることはまずできませんが、10%など一部の金額であれば問題ないでしょう。
・交際費
ソーシャルレンディング投資に交際費が必要かは微妙なところです。セミナーに参加し投資家等との歓談の時間を設けた、またソーシャルレンディングの執筆業をしているので、発注元業者との打ち合わせの後に食事をしたなどの理由があれば、経費が認められないわけではありません。ただし金額は、それほど大きなものにしておかないほうが良いでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディングは源泉徴収が行われているので、人によっては確定申告をする必要がないこともあります。確定申告をする意味は大きく、収入が少ない人であれば税金が還ってくることがありますし、収入が多い人は当然ながら追加で納税をしなければいけません。
またどういったものが、投資の経費にできるのか、そして給与所得と合わせてどの程度の税率になるかを把握しておき、可能な限りの節税を心がけましょう。
節税は脱税と違ってルールに則ったものであれば、全く問題はありません。賢く節税をして、できるだけ所得を増やしていきましょう。