長期の案件に投資するならば、3つの条件を満たしているかをチェック!
コンテンツ
ソーシャルレンディングには案件ごとに運用期間が分かれており、それぞれの運用期間に応じたメリットとデメリットがあります。
一方でソーシャルレンディング業界は今、信用問題などで揺れています。そんな状況の中、投資家心理としては、できるだけ安全性を重視して短期案件を中心に回していきたいという人も増えているようです。
しかし利回りの面を考えると、短期案件はどうしてもブランクが発生しやすいので、収益面では長期運用案件に劣ります。
長期運用案件に一度投資してしまえば、1年から2年以上の間、毎月分配金が発生します。そのため額面通りの利回りが期待できるというメリットがあります。
そこで今長期運用案件を選ぶのであれば、どういった案件を選べば比較的安全なのか、そういった面についてここでは考えてみましょう。
1.しっかりとした担保や保証があること
まず前提として絶対に必要なのが、担保や保証が確実についている案件を選ぶことです。
ソーシャルレンディングは事業資金の融資案件が非常に多いため、2ヶ月や3ヶ月で事業計画が破綻して投資家に資金が返済できなくなるといった状況は考えにくいです。
しかし、1年や2年間の運用案件だと、その間に事業で思った通りの成果が出なかったり、売り上げが確保できなかったりして資金を返済できなくなる可能性は十分にあります。
そのために自分の資産の安全性を守るために、担保や保証がついている案件を選ぶようにしましょう。
1-1.不動産担保が設定されているか
ソーシャルレンディングの担保には動産担保、事業担保、債権担保など、様々な担保があります。
その中でも最も換金性が高く、価値が変動しにくいのは不動産担保でしょう。
不動産は流通市場が確立されていますし、現在の日本では不動産価格は上昇傾向にあります。
そのため急に不動産価格が下落して、担保を換金しても資金が回収できないリスクは低いと考えられます。
そのため不動産担保を設定しているソーシャルレンディング会社は数多くありますが、その中でもラッキーバンクのように、独自の審査基準で価値を算出している担保はあまりあてにはなりません。
比較的信頼性の高い不動産担保を設定する会社を選ぶのでしたら、まず候補としてはオーナーズブックが挙げられます。
オーナーズブックは会社のメイン事業が不動産売買や不動産取引であり、ソーシャルレンディングは同社の事業でも3%の売上しか占めておりません。
それだけに不動産のプロといえる人材が揃っている会社なので、同社が審査する不動産担保の価値は信頼できるでしょう。
もちろん上場企業ならではのコンプライアンスに対する遵守意識の高さも信用をはかるための材料になります。
オーナーズブックと同等に厚い信頼を寄せられているのがレンデックスです。
レンデックスもオーナーズブックのように全案件に不動産担保を設定しています。
さら不動産担保の価値を算出する会社として、東急リバブルの名前を出しています。
東急リバブルといえばテレビCMを積極的に展開しており、支店の全国展開も行なっている不動産業界でも大手に数えられる会社です。
それだけにある意味ではオーナーズブックを運営するロードスターキャピタルよりも信用されており、同時に不動産担保も審査している企業ということもあって信頼度は高いと言えます。
この2社の不動産担保は相当の信用を得ていると言えるでしょう。
1-2.会社の保証がついているか
ただし不動産に価値があっても、必ずしも評価通りに売却できるとは限りません。
結局は不動産の需要と供給の関係であるため、たとえ市場価格に沿った価格をつけていても、たまたまそのタイミングで欲しい人が見つからなければ、安く売らざるを得ない時もあるのです。
案件の出たタイミングによっては、何月何日までに換金して投資家に返済しなければいけないということも出てくるでしょうから、そういったタイミングによって市場価格の2~3割程度安い価格で売却が行われることもあるのです。
そんな時にあてになるのは第三者による保証です。
保証は担保よりもさらに確実性が高く、第三者による保証がついていれば損失が起こった時でも、その第三者による補償が受けられます。
そのため資金を回収できる可能性は非常に高くなると言えるでしょう。
ただし、残念ながらそれほどまでに信頼のおける保証を設定しているソーシャルレンディング会社はあまり無いようです。
LCレンディングの案件では親会社であり、上場企業でもあるLCホールディングスの保証がついており、損失が発生した場合にはLCホールディングスから保証が行われると明記されています。
これまでまだLCレンディングの案件で貸し倒れが発生したことはありません。
そこでLCホールディングスの保証が実際に行われるのであれば、安全性は非常に高いと言えるでしょう。
2.公共事業絡みの案件を選ぶ
もう一つは成功する可能性の高い事業、もしくは売り上げが確保できる事業を選ぶことです。
融資先の企業が展開する事業で売上がきちんと回収できる見込みがあるのでしたら、融資先の企業による貸し倒れは非常に起こりにくくなります。
その意味では、公共事業をメインに扱っている案件に投資することの安全性は比較的高いといえます。
最近注目するべき会社としてはトラストレンディングが挙げられるでしょう。
トラストレンディングの債権担保付きローン(https://www.trust-lending.net/projects/00158/)は、事業内容が福島県内の土壌の除染作業に対する融資となっています。
元々の発注元が地方自治体と環境庁という、非常に信頼がおける発注元となっており、事業内容自体も公共性の高い事業であることが分かるでしょう。
なぜそのように公共性の高い事業を請け負う業者が資金を必要とするかと言うと、機材や人員を揃えるためには現金が必要になるからです。
公共事業といえども支払いは事業が完了してからになりますから、まずは事業開始のために公共事業を請け負った会社は、自前の資金で必要な機材や人員を集めなくてはいけません。
そこで事業者としては融資を受ける必要があるのです。
きちんと想定通りの事業が完了すれば、環境庁や地方自治体といった国もしくはそれに準ずる組織から代金が支払われないということはまずありません。
そのため売り上げを確保できる可能性は非常に高く、投資家としても安心して投資できる事業であると言えます。
3.ソーシャルレンディング会社が黒字化を達成しているか
そして3つ目の条件がソーシャルレンディング会社自体のリスクです。
ソーシャルレンディング業界でここ最近発生している問題を見るに、案件の問題よりも事業者自体のリスクが大きく影響することもあるのです。
事業者が倒産したという事例はまだ見られませんが、みんなのクレジットは社長個人の債務を投資家のお金から返済していましたし、グリーンインフラレンディングの親会社であるJC証券は、投資家から集めたお金を献金として政治家に拠出していたと言われています。
さすがに政治献金していた事実まで投資家が読めるものではないですが、事業者リスクを避けるのであれば最低限、黒字を達成している会社を選びたいものです。
SBIソーシャルレンディングは短期では黒字化を達成しましたが、まだ営業利益の累計では赤字となっており、黒字化がこれからの課題です。
クラウドクレジットも同様にまだ黒字を達成できておらず、資金調達に成功している一方で倒産がいつ起こってもおかしくはありません。
ソーシャルレンディングでは残念ながらFX会社のように信託保全を取っている会社はなく、会社が倒産してしまえば、預けていたお金が一気に失われる可能性があります。
そういった致命的な損失を避けたいのであれば、赤字から黒字に転じて直近で倒産の心配がない会社を選びましょう。
特にロードスターキャピタルのように上場を果たし、コンプライアンスの高さに定評のある会社を選ぶべきです。
まとめ
ソーシャルレンディング市場は現在、業界の岐路と言われる状態に立たされており、案件リスクだけではなく、事業者リスク自体を真剣に考えなくてはいけない時期に直面しています。
一方で金融庁からはこれまで禁止されていましたが、融資先事業者の名前を公開する旨の通達も業者に通知されており、今後は融資先の情報がこれまでよりも透明性が増すことが期待されます。
今公開される情報を見ながら、より確実性の高い事業に投資をしていく。そういった審査眼がソーシャルレンディング投資家にも求められていくことでしょう。