maneoとmaneoマーケットの違いとは
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投資家から1,300億円以上のお金を集めた実績を持ち、日本のソーシャルレンディング業界でも最大手の会社と呼ばれるmaneo。
そのmaneoですが、実はmaneo株式会社とmaneoマーケット株式会社の2社に分かれています。
ではこの2社は一体どのような役割分担となっているのか、またどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
1.親会社はmaneoマーケットである
まずmaneoとmaneoマーケットの関係ですが、親会社はmaneoマーケットになります。
maneoマーケットの代表取締役は瀧本憲治氏。
maneoの代表取締役は2018年7月に就任したばかりの味形衛氏です。
maneoマーケットの子会社としてmaneo、そしてプレリートファンドがあるのです。
決算情報などを見てもmaneoとmaneoマーケットを連結させた実績の数字が公開されています。
2.maneoとmaneoマーケットの従業員数
日本のソーシャルレンディング業界で最大手と言われるmaneoですが、その従業員数はmaneoのみ明らかになっています。
maneoの会社概要などには記載されていませんが、maneoが過去に募集した求人情報などを見ると、従業員数を含めた会社情報が記載されており、maneo単体での従業員数は12名となっています。
この数字だけを見れば、日本でソーシャルレンディングを広めた業界最大手の会社だとはとても思えないかもしれません。
他社の従業員数を見ると、クラウドクレジットなどは40名近い従業員がおり、比べればmaneoは最大手ながらも従業員は非常に少ないということになってしまいます。
一方でmaneoマーケットの代表者である瀧本憲治氏のブログの中では、40名ほどのスタッフと一緒に働いていると書いてあります。
maneoマーケットが現在親会社であり、メイン事業を担っていることを考えると、maneoとmaneoマーケットを合わせた従業員数が40名ほど、もしくはmaneoマーケットだけでも30名弱ほどの従業員がいるようです。
maneoとmaneoマーケットの連結決算は、最新の数字で売上高が32億円となっていますから、合わせて40名弱のスタッフが勤務しているのでしょう。
3.maneoとmaneoマーケットは取得している免許が違う
ではこの2社ですが、一番の大きな違いはどういった点になるでしょうか。
それは取得免許や登録している事業が異なるという点です。
3-1.maneoの取得免許は貸金業法免許
まずmaneoの会社概要を見てみましょう。
https://www.maneo.jp/apl/aboutus?page=relation
こちらに書いてある通り、maneoが登録している事業は東京都の貸金業法免許です。
ソーシャルレンディング会社として独立して事業を運営している会社は、貸金業法登録によって他の事業者にお金を融資し、また第二種金融商品取引業免許によって投資家からお金を集めるスキームを確立しています。
つまりmaneoは第二種金融商品取引業免許を取得していないため、maneoのみでお金を集めることは法律上できません。
3-2.maneoマーケットは第二種金融商品取引業免許
一方でmaneoマーケットの会社概要を見てみましょう。
https://www.maneo.jp/apl/aboutus?page=company
ここに記載されている通り、maneoマーケットは第二種金融商品取引業免許を取得しています。
つまりmaneoグループの役割分担はmaneoマーケットがお金を集め、そしてmaneoが他の事業者などに投資家から集めたお金を融資するという流れになっています。
このように2社で役割分担を行っているわけですが、ではなぜ2社でこのように役割分担を行っているのでしょうか。
4.maneoマーケットと他のソーシャルレンディング会社の関係
maneoマーケットでは2015年7月からソーシャルレンディングのプラットフォームを他社に提供し、ある意味ではソーシャルレンディング業界のインフラをも担っています。
またプラットフォームを貸し出すことでフランチャイズ企業からの収入を得るビジネスを確立しています。
maneoマーケットではガイアファンディングやアメリカンファンディング、キャッシュフローファイナンス、クラウドリース、アップルバンクなど10社がmaneoマーケットのシステムを利用しています。
また2018年6月まではグリーンインフラレンディングもmaneoマーケットのシステムを利用していました。
これらの事業者のホームページを見ると、自分たちで第二種金融商品取引業免許を取得している会社は見つかりません。
つまり現在maneoマーケットを利用している貸金業法免許を取得したソーシャルレンディング会社では、自分たちでお金が必要な事業者を見つけて貸し出すことはできますが、投資家からお金を集めるための第二種金融商品取引業免許を有していません。
しかしmaneoマーケットに投資金の募集を委託することで、第二種金融商品取引業免許を取得していなくてもソーシャルレンディング事業を運営できるのです。
maneoマーケットを利用するということはプラットフォームを利用するだけでなく、第二種金融商品取引業免許ではないでしょうかの免許を取得していなくてもソーシャルレンディング事業が行えるということを意味します。
5.maneoマーケットのもう一つの役割
またもう一点、maneoマーケットが他のソーシャルレンディング会社から事業を委託されている内容として顧客対応があります。
例えばキャッシュフローファイナンスの問い合わせ番号に電話すると、maneoマーケットのキャッシュフローファイナンス担当者が電話応対します。
そこでキャッシュフローファイナンスの案件に対する質問ができます。
グリーンインフラレンディングが投資家からのお金を他の用途に流していたというニュースが問題になっていますが、その問題に関してはグリーンインフラレンディング及びその親会社であるJCサービスだけではなく、maneoマーケットでも投資家に対しての発表を行っています。
他のソーシャルレンディング会社としては、会社として人員が必ず必要になる顧客対応をmaneoマーケットに任せることで人件費の削減などを図っているのでしょう。
そして人員のスリム化を図って企業としての収益性を向上させ、さらには投資家に高い利回りを提供しているのです。
一方で今回のグリーンインフラレンディングの問題を見る限り、NHKなどで行われた報道では、『グリーンインフラレンディングが投資家から集めたお金を目的以外の用途に利用した』という事実に反する報道がなされました。
maneoの名前が公表された際、『maneoが集めたお金が目的以外の用途に利用された』という内容で誤って報道されてしまったのです。
もちろん第二種金融商品取引業免許を取得している以上、お金を集めたのがmaneoマーケットであることは間違いありません。
一方で融資先を見つけ、実際に融資を行っているのはグリーンインフラレンディングであり、目的以外の用途に投資家の資金を流用したのもグリーンインフラレンディングやその親会社のJCサービス、JC証券です。
このようにソーシャルレンディングがまだ一般にはそれほど知名度が高い投資手法でないことから、maneo関連の報道でも事実とはやや異なるニュアンスを帯びた報道が目立っていました。
ソーシャルレンディング投資家の中でも、maneoとmaneoマーケットの関係をまだよく理解していない人もいるかもしれません。
親会社はあくまでmaneoマーケットであり、maneoは融資先の開拓や融資事業そのものを行う会社です。
この二つの会社の区別をしっかりとつけておきましょう。
まとめ
ソーシャルレンディング業界では、2018年に入ってから金融庁からの指導や資金流用問題など数々の問題が起きています。
そのため改めて情報の開示性、融資に関するスキームの整理などが求められています。
日本のソーシャルレンディング業界最大手であるmaneoマーケットの行動次第で、今後のソーシャルレンディング業界の未来は明るくも暗くもなっていくでしょう。
投資家としてはmaneoマーケットが投資家に対して誠意のある行動をとっているのか、とる意志があるのかを厳しく注視していきたいものです。