トラストレンディングの公共事業案件の融資先は?リスクは有るのか
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平均12%と、非常に高い利回りを投資家に勉強していたグリーンインフラレンディングの案件募集が、現在停止状態にあります。
投資家にとっては高利回りのソーシャルレンディング案件はリスクが高いと実感している人も多いでしょうが、それでもやはり高利回り投資案件は貴重なもの。
グリーンインフラレンディングに代わる高い利回りを持つ投資対象を探している人も多いでしょう。
そこで現在も10%以上の利回り案件を定期的に提供している、トラストレンディングの公共事業案件に今回は注目をしてみました。
公共事業案件は本当に投資をして大丈夫なのか、そしてどんなリスクが潜在的に考えられるのでしょうか。
1.トラストレンディングの公共事業案件とは
トラストレンディングの公共事業案件として注目されているのは以下のリンク先にある
・債権担保付ローンファンド139号~142号
となっています。
案件の概要を確認すると、利回りは12%と非常に高く、さらに運用期間も12ヶ月と中期程度であるため、投資家にとっては大変興味を惹かれる内容になっています。
融資の際の利率は13%で、トラストレンディングの事業者利益はわずか1%。全4件で総額2億円の融資案件と考えられます。
2.公共事業案件のスキーム
この案件のスキームを見ていると、大元の発注元は復興庁さらに復興庁が地方自治体に事業を発注する形になっています。他にも原子力関係の公益財団法人が絡むなど、関連する組織はどれ、非常に公共性の高い組織ばかりです。
利潤追求を目的とした企業が、この事業を委託しているわけではないということがわかります。
トラストレンディングへの電話アンケートによると、ここで記載されている事業統括会社はエーアイトラストそしてトラストレンディングの関係会社であり、この事業の遂行に必要な資金を取りまとめる役割を担っているということです。
そして借入人である別の会社に融資をし、その借入人となった会社が資金をもとに事業を運営するための、必要な機材や人員を調達するとしています。
事業スキームを見ると復興庁という大変信頼性の高い組織が、この案件の発注も行っています。
なぜトラストレンディング及びその関連会社はそのような省庁から、仕事を受注することができているのでしょうか。
3.トラストレンディングには省庁出身の役員が増えている
トラストレンディングの人事情報のリリースを見て行くと、同社は省庁出身の役員を積極的に採用していることがわかります。
ウェブサイトの役員リストを見ると、以下のようになっています。
代表取締役松本卓也
専務取締役山田貢(財務省出身)
監査役園田信夫(財務省出身)
取締役川﨑安弘(財務省出身)
取締役山本淳(国土交通省出身)
取締役古谷民男(財務省出身)
財務省出身の役員、そして監査役が4人もおり、また国土交通省出身の役員も1名同社に在籍しています。
2017年4月に財務省出身の役員を3人採用したことによって、トラストレンディングは省庁関係の太いパイプを手に入れたのでしょう。
そしてこのような公共事業に関する案件の受注が可能になったと考えられます。
4.投資先としての安全性は高い!?リスクがあるとしたら
今回の公共事業案件ですが、元の発注元が国の機関である復興庁、そして地方自治体となっています。
そのため事業遂行に使用した資金が、支払われなくなるというリスクはまず考えられないでしょう。
ただし発注先としても、今回の除染事業がきちんと遂行されるという、目的が達成されなければ事業に必要となった資金全額を払うことはないかもしれません。
そのためこの案件でリスクを考えるとすれば、資金を元手に機材や人員を集めても満足な準備ができなかった。
そのため復興庁や地方自治体が望むレベルでの事業を完遂できなかった。
このような実際の除染事業を手がける会社の技術レベルでのリスクが考えられます。
またわずかな可能性ですが、資金があっても機材や人員を用意できなかったとい事態体も起こらないとは言えません。
どのような会社がこの事業を実際に担当するかは、あくまでも推測になりますが事業内容や商標登録からある程度推し量ることが可能です。
https://ipforce.jp/patent-jp-A-2015-111100 内の
(71)【出願人】
【識別番号】507301730
【氏名又は名称】NSI株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田淡路町二丁目23番地2
(71)【出願人】
【識別番号】514189114
【氏名又は名称】一般財団法人国土災害管理財団
【住所又は居所】東京都中央区日本橋蠣殻町1−5−1
(71)【出願人】
【識別番号】514220945
【氏名又は名称】地方再生支援機構株式会社
【住所又は居所】福島県郡山市八山田4丁目77
の内の3つ目の会社だと推測できます
。実績のある会社であり、100%とは言えませんが、ある程度の信頼を置くことはできると言えるでしょう。
5.トラストレンディング自体の安全性は
このように高利回りの案件を多数投資家に提供しているトラストレンディングですが、同社の返済実績を見ると、これまで返済遅延を発生させたことも、そして貸し倒れを発生させたこともありません。
除染事業の関する公共事業案件は142号以降では提供していませんが、その後も10%を超える好利回りの案件を継続的に提供しています。
https://www.trust-lending.net/projects/00173/
などは公共事業に関する案件であることを明示しています。こちらの案件の内容を見てみると、
>本借入人は、LoRaWANTMの商用サービス開始に先立つ実証実験の準備を進めています。既に、センシング技術の開発や商品化を行う事業者やIoT関連のサービス事業者を募って、現在10社前後の参画企業の選定を終えるとともに、首都圏のある自治体の協力により公共施設内にLoRaWANTMゲートウェイ基地局を設置する許可を取得済みです。実証実験ではガスメーターの検針や高齢者のみまもり、河川の監視など様々なテーマの検証が予定されており、参画企業の中には商用サービス段階で本借入人との協業を予定している企業が複数社あります。このようにビジネスの展望が良好であることも追い風となり、現状、本借入人としては実証実験のスタートが急務となっております。
となっており、除染事業以外の公共事業への関わりも広がっています。
今後も除染、IOT事業に限定せず、省庁や自治体などの公共事業性の高い案件に関する融資が増えていくことが予測されます。
一方でこの案件の担保は動産担保となっており、担保の安全性だけを見ると他の案件よりはやや危険性が高いです。
事業遂行に必要な技術水準が、どの程度なのかを測ることは難しいですが、ビジネスの展望が良好であるとの表記もあるため投資家としてはその表記を信じるのか、それとも疑うのか悩むところでしょう。
また公共事業案件以外を見ても
https://www.trust-lending.net/projects/00169/
など、従来どおりの不動産担保をつけた一般的な融資案件の提供を行っています。
利回りは8%と業界内で平均的で、運用期間も11ヶ月と特に長期にわたるわけでありません。
日本のソーシャルレンディングの中では、ミドルリスクミドルリターンといえる水準の案件です。
まとめ
トラストレンディングはハイリターンかつ支払未納リスクの低い、公共事業案件を最近は多く扱うようになっています。投資家からの人気もそれらの案件に集中しており、募集開始時間になればクリック合戦が起こる競争率の高さを呼んでいます。
しかし、公共事業案件ともいえども事業を行う会社の技術次第で満足な報酬が支払われない事も起こりえます。
このような案件に投資する時は、可能な限り自分で情報収集を行い、事業を遂行する会社がどの程度の実績や技術水準を保っているかを推し量っていきましょう。
一方で公共事業案件以外に、従来通りの不動産担保案件も提供するなど、投資家に様々な投資の選択肢を与えています。
官公庁出身の役員がいるから安心とは、必ずしも言えませんが、トラストレンディングは一定のコンプライアンス意識を期待できるソーシャルレンディング会社とは、言えるのではないでしょうか。